旅の朝を、どんな食事からはじめますか?香川県を訪れるなら、答えはひとつ——「朝うどん」です。薄暗い早朝から開く讃岐うどんの名店に、地元の常連客とともに並ぶ体験は、観光地を巡るだけでは味わえない本物の香川を感じさせてくれます。この記事では、香川の朝食文化の歴史的背景とともに、旅行者でも早朝から立ち寄れるおすすめの名店を2軒ご紹介します。
香川県の朝食文化:「朝うどん」という生活習慣
香川県は「うどん県」とも称されるほど、讃岐うどんが県民の生活に深く根付いています。朝食として外食する習慣が香川には古くから存在し、早朝からうどんをすすることは日常の一コマ。農家・工場労働者・建設作業員から観光客まで、多くの人々が「朝うどん」を楽しんでいます。
讃岐うどんの歴史と朝食文化の背景
讃岐うどんの起源は約1200年前まで遡ります。香川県出身の弘法大師・空海が平安時代に唐(中国)へ渡り、804年頃に帰国した際、うどん作りに適した小麦と製麺技術を伝えたという伝説が広く知られています。また、空海が故郷・讃岐の満濃池治水工事を行った際、集まった人夫たちにうどんを振る舞ったことがうどん普及の始まりとも伝えられています。現存する最古の資料は元禄時代(1688〜1704年)に描かれた「金毘羅祭礼図」の屏風絵で、うどん屋が描かれています。長いうどんの形状は江戸時代に確立されたとされ、良質な小麦と讃岐平野の豊かな水が、独特の食文化を育みました。1970年の大阪万博を機に「讃岐うどん」の名が全国に広まり、その後うどんブームが起き、今日では「うどん県」として全国から多くの観光客が訪れます。朝うどん文化については、店主たちが開業前に地元の人々に意見を聞いたところ「仕事前にうどんを食べたい」という声が多かったことから、早朝営業を始めたというエピソードが残っています。
香川県を訪れる旅行者にとって、「朝うどん」は最優先で体験すべき観光コンテンツの一つです。多くのうどん名店は昼過ぎには閉店するため、早起きして朝一番に訪れることが旅の醍醐味となっています。高松駅周辺には早朝5時から営業する店舗もあり、夜行バスや早朝便で到着した旅行者がそのまま朝うどんを楽しめます。また、自転車(レンタサイクル)でうどん店を巡る「うどんサイクリング」も人気で、1日に複数の名店をはしごするスタイルが定着しています。旅行者はシンプルな「かけうどん」から、名物「釜バターうどん」「釜玉うどん」など個性的なメニューまで、各店舗の個性を楽しみながら朝食を体験します。価格も1杯200〜500円程度とリーズナブルなため、複数店舗を梯子することも容易です。
香川県でおすすめの朝食スポット2選
早朝から営業し、旅行者でも気軽に立ち寄れる2軒をご紹介します。
① 手打十段 うどんバカ一代
食べログ「うどん百名店」に2017年から長年選出され続ける高松屈指の人気店。朝6時から18時まで年中無休(元旦のみ休み)で営業しており、地元の学生や観光客、サラリーマンなど幅広い客層で常に賑わいます。席数は37席(カウンター9席、テーブル20席、座敷4人掛けテーブル2卓)で、45台収容の駐車場も完備。手打ちの麺は強いコシと滑らかな食感が特徴で、独特の「釜バターうどん」が看板メニューとして全国にその名を轟かせています。テレビや雑誌にも多数取り上げられており、朝から行列ができることも珍しくありません。
- おすすめメニュー:釜バターうどん(釜揚げうどんにバターと醤油、温泉卵を絡めた独創的な一品)、温玉肉うどん
- おすすめポイント:食べログ「うどん百名店」常連の実力派。年中無休・朝6時から営業なので旅行者でも早朝から確実に立ち寄れる。釜バターうどんは香川県内でも唯一無二の個性的なメニューで、一度食べると忘れられない味わい。大型駐車場完備で車でのアクセスも便利。
- 営業時間:6:00〜18:00(年中無休、元旦のみ休み。12月31日は6:00〜16:00、1月2日は10:00〜16:00)
- 住所:香川県高松市多賀町1-6-7
- アクセス:琴電長尾線「花園」駅より徒歩5分、琴電各線「瓦町」駅より徒歩10分。高松道・高松中央ICから県道43・155号経由で車でも便利。
② 手打ちうどん 味庄(あじしょう)
高松駅前から徒歩わずか2分という抜群の立地で、なんと朝5時から営業している讃岐うどんの老舗セルフ店。平日のみの営業(土日祝定休)で、14時には閉店するという潔いスタイルが地元民・旅行者双方に愛されています。店内は25席のこぢんまりとした空間で、カウンター席もあります。手打ちうどんの作業場が厨房横に見えるため、まさに「打ちたて」の讃岐うどんを体感できます。夜行バスや早朝便で高松に到着した旅行者が、荷物を持ったまま立ち寄れる利便性も高く評価されています。かけうどんは250円前後とリーズナブルで、ぶっかけうどんも人気です。
- おすすめメニュー:かけうどん(温・冷)、ぶっかけうどん(香川・岡山の名物スタイル)、生そば(そば好きにも人気)。サイドにマイタケ天などの天ぷら類も充実。
- おすすめポイント:高松駅前徒歩2分という圧倒的な立地と、香川随一の早朝5時開店が最大の強み。夜行バス到着後すぐに本場讃岐うどんを体験できる唯一無二の存在。セルフ方式で自分好みのだしをかけ、天ぷらをトッピングする本場のうどん文化を気軽に体験できる。価格も1杯250円前後と非常にリーズナブル。
- 営業時間:5:00〜14:00(月〜金のみ。土・日・祝日は定休日)
- 住所:香川県高松市西の丸町5-15
- アクセス:JR高松駅より徒歩約2分(高松駅から約92m)。高松駅高速バスターミナルの斜め前に位置。
まとめ:香川の朝は「朝うどん」からはじめよう
香川県を訪れたなら、観光スポットを巡る前にまず「朝うどん」を体験してみてください。早朝から営業する名店で、打ちたて・茹でたての讃岐うどんを一杯食べるだけで、香川の食文化の豊かさを全身で感じることができます。旅のはじまりを、香川の誇る一杯で彩ってみてはいかがでしょうか。